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風船の使者

中村草田男のメルヘン集「風船の使者」を読む。

瀬田貞二の解説によると、俳句ひとすじの詩人とみられている草田男に、このような物語風の作品があることは、あまり知られていないようだ。ごく限られた発表の時期(1931~1934と1946~1949)または、作品自体の特異な形式や超越的性格もあり、まずは眠って過ごしたというところであるらしい。

それでも、発表当時からその価値を認めていた山本健吉は次のように述べている。

「草田男の本質はメルヘンの世界だ。彼の俳句においても、その童心の持続は驚異に価する。彼の俳句がある一定の技術の獲得による小成に甘んぜず、常にある可能性をはらんで若々しいのは、彼が根底においてメルヘンの世界を内に蔵しているからである。」

    鼠・犬・馬雪の日に喪の目して

昭和21年正月、義父の死を聞いて積雪の信州に急行した時の一句であり、草田男自身が自解で次のように述べている。

「我々の身辺では馬・犬・鼠、この3種の動物ほど優しい顔貌と涙にうるおったような黒眼を備えているものは、他に居ないようである。」

優しい動物たちに取りまかれた草田男の俳句は、侘び寂びに遠く、花鳥諷詠を脱して人間性内部の声を聞こうとするメルヘンの詩であるのかもしれない。トケオ

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