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遊動のブルース・チャトウィン

  湯川豊著「本のなかの旅」を読む。イギリスの旅行作家ブルース・チャトウィンを、同じく作家のレドモンド・オハンロンが回想している。

  とんでもない早朝に、「30分で迎えに行く。一緒にブラックマウンテンに行こう。」とチャトウィンから電話があり、やがて白のシトロエン2CVがオハンロンの家の前に止まる。

  ブラックマウンテンに着いたチャトウィンは革のブーツをはき、濃い海老茶色のショルダーバッグを肩にかけて歩き出す。このバッグは俳優のジャン・ルイ・バローがチャトウィンのために特別にデザインしたものである。バッグの中にはモンブランの万年筆、革表紙のノートブック、英訳の「戦争と平和」、映画監督のヴェルナー・ヘルツォークにもらった見たこともないほどに優美な双眼鏡が入っている。

  力強い大股で丘を登り、ひたすら歩き続けるチャトウィンが、「ロシアの小説を書くのが生涯の夢だ。」という話をしている最中に、一台のバンがヨロヨロとやってきて、チャトウィンのバッグを引っ掛け、チャトウィンは見事に空中でトンボ返りをする。回転中もしゃべり続けていて、「トルストイみたいにまっすぐ語るんだ。小細工はない。」のちょうど「小細工はない。」というところでチャトウィンは溝に転がり落ちている。 トケオ

  Photo  ブルース・チャトウィン

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