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野見山暁治、椎名其二に会う

  画家、野見山暁治著「四百字のデッサン」を読む。

  渡仏した野見山が、パリで椎名其二(大杉栄を引き継いで「ファーブル昆虫記」を翻訳したコスモポリタン)の倉庫のような住居を初めて訪問する場面がとてもよい。

椎名 「きみは今日、私のところへくれば、人生について有益な話がきけると思ってここへやって来たのですか。」
野見山 「いいえ。」
椎名 「きみは今日、私と知りあっておけば、今後のフランス生活について便宜なことでもあると思ってここへやって来たのですか。」
野見山 「いいえ。」
椎名 「きみは今日、私のところへくれば、おいしいフランス料理が食えると期待してここへやって来たのですか。」
野見山 「はい。」

  白いシャツに黒のチョッキと上着をつけ、礼服のような縞が入ったズボンをはいた椎名は、初めて顔をほころばせ、黒いベレーをとりながら「私に出来ることはそれしかない。きみは今日、私のところへくる立派な資格があるようだ、入りたまえ。」と言い、野見山を部屋の中へ招じ入れたという。なんて素晴らしい出会いなんだろうかと思う。トケオ

Photo_3    椎名其二と野見山夫人




   
  

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