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大江健三郎が観た東京オリンピック開会式

  1964年10月10日、東京オリンピックの開会式を国立競技場で観ていた大江健三郎氏の文章を読んだ。(「サンデー毎日」同年10月25日号)

  その視線は、コバルトブルーの空に飛ぶヘリコプターを赤いエビにたとえ、7万3千人の大群衆が待ち受けている様子を、選手も誰もいないグラウンドの欠落、あるいは空虚としてとらえた、客観的かつ冷静なものであった。

  半ズボンをはいたバミューダ島の選手たちや、エロティックなまでに美しい肉体のガーナの選手たちの行進する姿を見て大江氏は次のように書いている。

  「われわれはいまや、車に乗っているときの自分を誇らしく感じ、歩いているときには不安で恥ずかしく感じているのではないか?あの名高い格言『健康な体に健全な精神が宿る』は、実は原典では『健康な体に必ずしも健全な精神が宿るとは限らない』だということだが、このあいだまで屈伏していた若者たちが、その健康な体に健全な独立者の精神を回復しようとつとめている光景は感動をあたえる。」

  開会式終了後、大江氏は薄ら寒い空気に身震いしながら、人波に流されるままに後ろを振り返らず歩いて帰る。振り返れば逆さまの大伽藍が、巨大な空飛ぶ円盤さながら空高く飛び去ってしまっているかもしれないという気がしたからである。

  2020年の東京オリンピックのために、建築家ザハ・ハディドがデザインした、あのカブトガニにも似た新国立競技場について、大江氏はどのような見解を持っているのだろうか。とても気になる。

  Photo 東京オリンピック開会式

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コメント

余りにも「落差」の激しいブログ・・・。
つい自分で突っ込み入れちゃうほどに。
でも、辛うじてスポーツ継がりなのか・・・。

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