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成島柳北のおびえ

  長谷川尭著「建築旅愁」を読んでいたら、前田愛著「成島柳北」について書かれている部分があり、これがとても面白かった。

  明治5・6年頃、維新政府の岩倉使節団による行動記録「米欧回覧実記」と、同時期の成島柳北による渡欧日記「航西日乗」の内容は、極めて対照的である。

  岩倉たちは新しい国家の権力者として学ぶべきもの、例えば陸軍士官学校、ヴェルサイユ宮殿、下水道、砲台、兵営、公園、建築学校、鉱山学校、国立銀行、織物工場などを見学している。一方の柳北は、美術館、キャバレー、劇場、監獄、寺院などを見学している。

  岩倉たちは「取り締まる者」の論理のなかで、それらの建築物に出会い、柳北は「取り締まられる者」たちが関わっている様々な建築物を、ある種の同情を込めて描きだしている。

  柳北は自分自身を法律の執行者としてではなく、その反対に捕らえられ、ブチ込まれる側の者に特有のおびえのなかで「航西日乗」を書いている。パリの監獄にどことなくホッとした風情をみせているのは、柳北自身が「これならどうにか住めそうだ」と実感したからだろう。ちなみに、柳北の子孫に俳優の森繁久弥がいる。(トケオ)

  Photo_2   成島柳北

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